2014/10/1
私は昭和が大嫌いで70年代も大嫌いだったので、走り去るように通ってきたのだけど、考えてみたら十代の私はどっぷり70年代を生きてて、むしろそれしかないから、嫌いになるとなんも残らない。なので、心入れ替えて古い記憶を掘り起こしています。
真紀子は高校1年ん時の友達で、KISSのポールが好きだった。私は1年の時はまだ洋楽を聴いてなかったので、どのオバケ(のような人)がポールなのかさっぱりわからなかった。真紀子がノートに描いた絵で「星の人」とわかったんだ。そのうち二人で『魔女誌』っていうもの作った。何てこたない交換日記です。表紙は資生堂のカレンダーを綺麗に折ってカバーにした。中身はひたすら、片想いしてる人のことを空想と妄想で埋め尽くしてるノートでした。
私は当時は相鉄線の鶴ヶ峰に住んでいて、真紀子は隣の西谷だった。それで高校の最寄り駅の天王町から乗る私たちは西谷で降りて、ホームの一番端っこに腰掛けて、いつまでもおしゃべりしてたんだ。電車が来ない方のホームだったんだけど、足は線路の方にブラブラさせてたから、その頃は呑気な時代だったんだなあ。
或る時、夕方になって、空がとても紅くなって、真紀子が「こんな時はホテルカリフォルニア聴きたいね」って言った。西谷の駅は新幹線と交差しているから、乾いたコンクリの大きな柱と夕焼けの色を眺めながら「そうなんだー」と思った。今でもこの曲を聴くと、西谷駅のホームの端っこを思い出すんだ。