2014/10/25
『ろーど』は、相鉄線の鶴ヶ峰駅から数分歩いた先の、雑居ビルの二階にある喫茶店だった。中はがらーんと広く、天井も高く、雑に白くペンキを塗ったような殺風景なつくりで、観葉植物がぽつんぽつんと置かれていた。左手奥はカウンターと厨房で、ウエイトレスのお姉さんは綺麗な人だった。サーファーみたいに髪をパサパサさせて、スリムで、化粧は濃いけれど仕草がやたらカッコ良かった。あんまり笑わないところもね。
高校で同じクラスだったキキも鶴ヶ峰だったので、学校帰りに一緒によくろーどに寄った。キキは歳の離れたお兄さんとお姉さんがいたのでおませな子だった。校則で禁止されてるにも関わらずバイトも始めて、それはキキんちの近くの16号沿いにあるケンタッキーだった。或る時「こないだすごい騒ぎでさー、外人のおじいさんがアメリカから来たんだ。その人が社長なんだって」と話してくれた。「よくこんなとこまで来るよねー、どんな人だった?」白いひげが生えてる。お年寄り。足が悪い。の情報をキキは教えてくれた。今にして思うと、カーネル・サンダース氏だったんだ。
『ろーど』のキッチンには、お姉さんよりさらにクールなお兄さんが居て、ニコリともしないんだけど何度か通ううちにパフェの器がおっきくなっていった。最終的にはビールの小ジョッキにアイスクリームやフルーツをぎゅーぎゅーに詰めて、最後にメロンシロップをたっぷりかけて作ってくれたんだ。食べても食べても減らないんだよ。嬉しかったな。
でもあれでずいぶん太ったんです。