2015/12/9
こうきくんは知人の子どもで、彼が小学1年生の時に出会った。小1と書いたけど実際には彼は学校に行ってなくて、それも不登校ではなくて、「くだらないから僕はもう行かないよ」だった。たしか一週間も行かなかったと思う。初めての朝礼で校長先生の話を聞いて「こんなとこに行っててもしょうがない」と決めんだと記憶してます。
こうきくんは湘南の方に住んでいて、年の離れたお兄さんとお姉さんそしてご両親がいた。こうきくんのお母さんも私も山手さんという瞑想家のヨガの会に毎週通っていて、くっついて行ったこうきくんと知り合ったのです。
こうきくんは基本大人が嫌いで、挨拶しても知らんぷりしてたり下を向いてたりするんだけど、どういうわけか私とは話すようになった。それで或る時ウチ(私と当時の夫ラズ氏と娘の家)に遊びに来たんだけれど、帰る時「僕、帰りたくない、泊まりたい」と言って、以来時々泊まりに来るようになったのです。
その頃の私は色々な事情があって大人が苦手になって世間と隔離していたので、妙にこうきくんと気が合った。彼は自由だけれど学校に行ってないからあんまり友達がいなくて(いるんだけど、他の子は学校で忙しくて)、一週間くらいまとめて泊まるようになった。来るのも自由だけど帰るのも自由で、「帰りたい」と湘南の家に電話したら高田馬場の連絡橋までお母さんが来て引き渡すのですが、こうきくんはまだ泊まりたくて、その場にグニャッと倒れて仰向けに寝ちゃうこともありました。
こうきくんは多分私のことを友達のように思っていて、私ももちろん友達と思っていました(そして今でも)。彼は気に入った漫画を私に貸してくれたり、アニメを教えてくれたので、いまだに私はラッキーマンが好きだし、台詞が頭の中をよぎります。珈琲ばっかり飲む私を心配して「こんな苦いもん飲まない方がいいよ。まずいじゃん」って喫茶店で言うので「そうだね」って答えると「紅茶にしなよ。甘くておいしいよ」って、真剣に教えてくれたのも思い出します。今考えると、紅茶はお砂糖とレモン入れるんでそりゃ甘いし、珈琲だってお砂糖入れれば甘いのだけど、私は時々そのこと思い出して紅茶にするんだよね。
小学校を自分で辞めてしまうくらいだから意志が強くて、ホント言うこと聞かない奴で、私とも喧嘩を何度かしたんだけど、一回すごい大ゲンカになって、二人で泣きながら言い合ったことがありました。ケンカの原因は大したじゃないと思うんだけど、私は大人になってから泣きながら言い合う相手なんて美樹ぐらいしかいなかったので(そしてその頃はもう美樹と交流がなかったので)彼が一番の友達だったように思います。
こうきくんとは数十年会ってなくて、こないだ「幾つになったのかなあ?」と考えたら、どう数えても30手前になっているはずだし、「てことは私は?」と連想するとおそろしくなったので、それ以上は考えるのをやめました。