どんな風にまとめようかなあと悩んでいたことを、最近身に起きたことをキッカケに少しずつ固まってきたのでエイヤッと書きます。『老い』についてのお話です。
先月の半ば頃、左足の靭帯を痛めてしまいました(新橋にお越しくださったお客様、申し訳ありませんでした)。最初は階段の昇り降りさえままならず、歩けないとわかった時に真っ先に頭に浮かんだのは、「これでもうオールに行けないや」でした。
知り合いがいない、話す相手がだーれもいないと嘆きながらも、爆音の中にいるのが好きだったのです。だんだん目がショボショボしてきて、あー早くお家でシャワー浴びたいなあと考えて、立ってるだけでもぼろぼろだけど嬉しいな、心細いけど楽しいなのクラブ体験が大好きだったのです。自分が何才かも忘れちゃって、ラムのジュース割り一杯だけで皮膚の内と外が曖昧になって、暗いフロアの端っこでニヤニヤしているのです。あれは渋谷のジニアスの暗闇の中にいるのと似ていたのかもしれないなあ。
先日、上の娘が生まれて初めてのオールナイトイベントを経験したそうです。「なんで、かーちゃんあんな(大変な)こと一人で出来るのかわからん」と不思議がっていたのですが、私だって二十代の身体で経験したかったよと思ったんです。街ですごいインパクトのポスターを見つけたのだけれど、転がる前の輝きの意味は、転がって、もう二度と戻れないと悟った時にしみじみと知るのです。
という訳で、元気になったらまたふっと爆音の中で突っ立ってる妖怪がいるかもしれませんが「帰れ」とか「来るな」とかもう言わないでね。妖怪は無害ですし、傷つきやすいので、(生)温かい目で見守ってください。