先日も書きましたが、実家の横浜の家をいよいよどうにかしようと動き始めました。とても便利な駅から歩いて10分ほどの山の天辺にあるマンションなのです。隣は公園、見晴らしも良く、遠くにみなとみらいの灯りが見えます。風もうっすら潮風で、気持ちの良い場所なのです。空き家にしてから丸5年、時々住もうと決めてからは丸3年。だけどもやっぱりなかなか帰れませんでした。気がかり過ぎて、夢見も悪くなってきたので、重い腰をあげることにしました。
まずは空っぽにしてハウスクリーニングを入れて不備な部分を整えて、ということなので、先週ダンボール箱に詰め込む作業をしに行きました。といっても3年前に母の荷物は処分したので、少しの荷物なのですが。片付けながら、当時の私の気持ちを思い出しました。あらたに買い足したご飯茶碗とお味噌汁茶碗2組、お箸2組、お皿スプーンフォーク2組、ランチョンマット2組。小さなお鍋にやかんにおたま、包丁にまな板。小さなブルーの冷蔵庫に小さな洗濯機。全てが新品です。あてもない誰かを待っていたんだなあと思いました。ちょうどこの前のアーサー王講座で『マボンの門』をやりました。大事なスプレッドなのですが、レオン先生に解説していただいて、ハッとしたことがあったのです。ノートから二つだけ抜粋して載せます。
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★既に私が達成したこと ☆Grail 2(逆位置)
聖杯とその到来を象徴するのがGrailの2。肩透かしをくった。(愛情を探し求めてきたが)的外れに終わってしまった。(到達すれば、また違っていた)
★何がその達成の助けになったか ☆Stone Knight(逆位置)
ボースは聖杯の家族。(ランスロットの従兄弟)なぜリバース(逆位置)か?→ボースは真面目→人は単純にはいかない。
Grailの2(逆位置)の達成をもたらしたものが、Stoneの2(逆位置)→自分に対するこだわり。自分の体験。身につけてきたことに、対するこだわり。別離、当て外れ、肩透かし。達成したものは、成功という訳ではないが、『離婚を達成した』→それを踏まえた上で、どう生きるか?
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先生の解説はすごく刺さりましたし、深く納得し、癒しとなりました。アーサー王のタロットのGrailの2は、トートのカップの2と同じなのです。逆位置ではありますが、やはり「カップの2」なんだなあと思いました。私はたったひとつの愛にこだわりすぎて、探し求めすぎて、次々に壊れてゆくのを経験してきたのです。「これでもまあいいか」とか「探し求めたものとは違うけれどもこれはこれで幸せか」という風には生きていけなかったのです。たった一人の、一本の、引き上げてくれる手を探しながら、ここまで来たのです。
あてのないお茶碗2組ずつを眺めながら思い出したのですが、例によって私の妄想の中では、山の天辺のお家で私のアルバムを見せて「こんな風に生きていたよ」と、誰かに見せられたらいいなあと思っていたのです。思い過ぎて、誰も探せないというのは、もう私が何十年も続けてきたことなので、特に悲しくもなんともないのですが、それらを全てダンボールに詰めて片付けてしまうことが、新しい人生の始まりなのだと思いました。
(2016年)