2017/1/27
横浜に引っ越してきたのは4歳になったばかりの頃でした。保土ケ谷区仏向町と言う町の、お風呂のない小さな長屋に住んでいて、通っていたのは従兄弟の住む明神台団地の中にある明神台保育園でした。それで仏向町の長屋から明神台の保育園まで毎日歩くのですが、途中、県の植物園である保土ヶ谷公園に必ず立ち寄っていました。帰りは道路脇にある小さな売店で飲み物やパンやアイスを買って、ベンチでのんびりするのです。春夏秋冬、草花や木や虫や鳥を見て過ごしていたのですが、私のアイデンティティはそこから始まっているような気がします。
子どもの頃の私は、今でいう「空気の読めない」人間で、それが母を悩ませていました。けれども草花や虫とはちゃんと通じ合えたのです。私が種を蒔くとひまわりは大きく育ったし、蟻や他の虫とも交流出来たのです。人間以外のものともたくさん触れ合える、幸せな時代でした。
春が近づくと、その頃を思い出してとても懐かしくなります。一番先に地面のお花が咲き出して、そのあとは花壇のチューリップが咲き出して、保土ヶ谷公園は一気に賑やかになるのです。毎年春になると、心の中の保土ヶ谷公園に通い始める私です。