暑い。暑いって言いたくないけど、あつい〜!!街のショーウィンドウはすっかり秋ですね。そういえば今日は立秋ではないですか。
秋になると毎年思い出す服があります。それは●十年前のお話、横浜の旭区に住んでいた頃です。当時、私や私の友人たちはマガジンハウスの雑誌や花椿で流行を知りました。今でもそうですが、その頃はいっそう原宿が流行の中心地でした。とは言っても、原宿なんて一年に一、二度しか行けませんから、町のブティック(今で言うセレクトショップ)に足を運んだのです。それぞれのオーナーが仕入れた洋服やアクセサリーが集められているのですが、値段が高くて10代の私たちにはとても手が出ませんでした。
高校生のある日、中学時代の仲良しの加代の買い物に付き合うことになりました。加代は昼は高校に行き、夜はなぜかスナックで働いていました。顔もスタイルも可愛いから、重宝されて毎日バイトに入っていたのです。一方の私は日が暮れるまでに帰宅というダサい門限、見た目も垢抜けないので、加代はもう別世界の人のようでした。その彼女に連れられて入ったのは、鶴ヶ峰駅にほど近い、狭くて奥行きのあるブティックでした。倉庫みたいにぎっしりと商品が飾られているなか、絶対に買えないなっていう値段の服たちを眺めていると、どうしても気になる素敵なものがありました。
それは柔らかいビロードで出来たエンジ色のワンピースでした。丁寧な仕立てにシンプルなライン、可愛らしいけれど大人っぽくて心惹かれたのです。これこそが原宿だ、きっと原宿で仕入れたに違いないと勝手に思い込んだのです。その様子を見てか女主人が「着るだけ着てみたら?」と言ってくれたので試着したのですが、結局買うことは出来ませんでした。家に帰ってからもさんざ悩んだので、たぶん相当高かったのでしょう。
以来、秋が来るたびに、エンジ色のワンピースを探してみたくなるのです。