2012/10/17
1990年前後に、瞑想家の山手國広氏がやっていたことが何だったのか、最近になってやっとわかってきた。山手さんは、江古田駅から歩いて数分の『浅間湯』の二階の畳の部屋で、毎週土曜に瞑想会をやっていたのだけれど、加えて隔週月曜の夜に、「音楽瞑想」をやっていたの。「音楽を使って瞑想する」というもの。山手さんがあらかじめ自宅でつくっておいたカセットテープを、会場で30~1時間くらい流して、その後に山手さんの誘導によって1時間くらい瞑想するのです(私達は寝ながら聴くだけ)そのテープというのが、最新のヒットチャートや、各国の民族音楽や、日本のポップスやらを、重ねて混ぜたり繋げたりしているの。
山手さんのお気に入りは(桜台のお宅にきれいに電波が入る)ナック5というチャンネルで、そこから最新のチャートを拾ってきてた。いまどんな音楽が流行っているのか山手さんに聞けば早いくらいで、、、(古くから山手さんのお家に遊びにいらしてた)橘川幸夫さんもそうだったらしいけれど。音楽瞑想の最後に、その日のテープの繋いだ曲名と簡単な説明をしてくれるのだけど、あらゆるジャンルの世界中の音と音楽が混ざっていた。私達は、山手さんのMIXテープに採用されたくて、自分で見つけてきたCDを紹介することがよくあった。だからといって必ず繋いでもらえる訳ではないけれど。わたしはシンガポールに旅行した時にHMVで見つけた、マレーシアの森の民族の唄を貸したら、数週間後に採用されてとっても嬉しかったんだ。
レイという言葉を聞いたのも山手さんからだった。日本人では今井美樹がたびたび使われてたし、アフリカの音もよく混ざっていた。ユッスンドゥールもお気に入りだったみたい。スノウを教えてくれたのも山手さんだ。チベットの声明や、日本の各地の民謡。ツェッペリンやピンクフロイドはよく使われていた。好みだったのかな。それとも混ぜやすかったのかな。毎回、重ね方と繋ぎ方が面白くて、ついつい引き込まれて寝てしまったの。
『これはリ・ミックスといって、最近若い人たちが街でもやっています』と、私たちによく話してくれてた。なんのこっちゃ?!とずうっとわからなかったんだけど(だって山手さん当時70代だったし)今年の夏にやっと、山手さんてDJだったんだなーと気づいた。それと、いまのDJの方たちのMIXが、山手さんのMIXテープとすごく共通点が多くて、びっくりする。見た目の痩せた小さいおじいさんからは想像しがたい、鋭くかっこよい最先端の音だった。
そういえば山手さんは音楽瞑想の際に毎回必ず「音楽は、好き嫌いで聴かないように。どの曲にもそれぞれ、カルマとマヤ、ダルマとリラがありますので、それを上手に使って、意識を空間(身体の外側)に置くようにして下さい」と言ってた。
カセットテープが何本か残っているので、今度聴いてみようかな。